美容師が美容サロンを経営する際知っておくべき経費のこと
美容師が独立して自分で美容サロンを経営する際、いろいろと学ばねばならないことがあります。その1つが経費です。経費とは「物事を成し遂げる際にかかった費用」のことで、美容サロンの場合は経営する上で必要な費用が経費です。
しかし、美容サロンを経営していく際に使った費用がすべて経費として処理できるわけではありません。かといって経費のことをよく理解しないまま経理処理をしてしまうと、税金を余分に払わなければならなくなることもあるでしょう。この記事では、美容サロンにかかる費用をどこまで経費にできるか、その基準を詳しく解説します。
美容サロンにかかる費用はどこまで経費にできる?
美容サロンを経営するにはさまざまな費用がかかります。一例を挙げると、店舗や椅子・シャンプー台をはじめとする設備費、ハサミやドライヤーなどの備品費用、シャンプーやワックスなどの消耗品費、さらに広告費や水道光熱費、人件費などです。
経費とは、「物事を行なう際にかかる費用」のことなので理屈上は美容サロンの経営にかかる費用すべてを経費として計上できます。たとえば、先ほどあげた設備費、備品費用、消耗品費、広告費などに加えてお客様に提供する雑誌や飲み物も経費です。
美容サロンを自分で経営していくうえで経費の把握はとても大切です。自営業は毎年「確定申告」を行い、自分で「所得税や住民税をこれだけ払います」という申告をしなければなりません。所得税や住民税は所得によって変わりますが、自営業の場合は売上から必要経費を引いた分が所得です。
ですから、経費を正しく把握して正確に確定申告することで節税にもなります。また、領収書を取っておく目安にもなるため、美容サロンを経営する美容師は経費の内訳を把握しておくことが重要です。以下に、経費として計上できる項目をもう少し詳しく説明していきましょう。
設備費には家賃も入る
設備費とは美容サロンを経営する際に必要な設備の費用です。一例を挙げると、椅子・シャンプー台・鏡などがあります。店を借りた場合は家賃も計上が可能です。
ただし、ローンを組んで店舗を建てた場合、住宅ローンの元本は経費として計上できません。その代わり、建物は年々価値が下落していくものなのでその減少分を「減価償却費」として経費に計上が可能です。減価償却費の年数は、木造建築の場合が22年、鉄骨の場合は27年と決められています。内装をすべてリフォームし、その費用をローンで支払っていくという場合も同様です。ですから、減価償却費として計上できる年数に合わせてローンの年数を決めるなどがおすすめです。
消耗品はどこまで経費にできるか
消耗品とは、シャンプーやワックス類、文具類など使ったらなくなるものや、使用期間が1年未満か、購入費が10万円未満の什器や備品を指します。美容サロンの場合は、ドライヤーやハサミなども消耗品に該当します。また、タオル類も消耗品に分類されます。美容サロンに飾るための花や季節の小物なども消耗品費です。つまり、美容サロンを経営するために必要不可欠のもので、寿命が1年未満のもの、10万円未満のものと覚えておけばいいでしょう。鏡なども10万円未満ならば設備費ではなく消耗品費として計上できます。その一方で、美容サロンの経営に関係ないものは計上できません。
美容師の人件費や保険料も経費にできる
美容師やアシスタント、事務員などの給与や美容サロンにかける火災保険などの保険料なども経費として計上できます。また、固定資産税・自動車税・登録免許税などの税金も個人事業主ならば経費として計上が可能です。ただし、美容師自身の生命保険やiDeCoなどの個人年金、国民健康保険などは経費として計上できません。その代わり、確定申告の際に控除対象となります。経費と控除対象を一緒くたにしたいように注意してください。
このほか、カットなどの技術を磨くための研修会に参加するための費用や、そこまでの交通費も経費として計上ができます。
美容サロン経営の経費に関する注意点
ここまで記事を読んでいただければ、美容サロンを経営している際にかかる費用の多くを経費として計上できるとおわかりいただけたかと思います。しかし、美容サロンの経営にかかわる費用なら無条件に経費として計上してよいとは限りません。
何でもかんでも経費にしてしまうと、確定申告後に税務署から調査が入った際に修正申告することを求められることもあります。そうなると、過少申告加算税が加算されることとなり、税金が余計にかかってしまいます。税の計算をもう一度やらなければならないので、手間もかかるでしょう。
また、美容師個人で美容サロンを経営している場合は自分で使うものとサロンで使うものが混同することもあります。面倒でもサロンで使うものはすべて別会計にするなど、経費の計算がしやすいようにするのがおすすめです。
以下に、美容サロン経費に関する注意点の一例を紹介していきます。税に関しては「税理士」という専門家もいます。困った場合は1人で悩まずに、税理士に相談するのもおすすめです。
自宅開業の際の経費はどこまで?賃貸物件との違い
賃貸物件の場合、家賃や光熱費・通信費などは経費として計上ができます。家賃・光熱費・通信費などはすべて美容サロンの経営に使われていると一目瞭然のためです。
しかし、自宅の一角を改装してサロンにしている場合は注意が必要です。店舗兼住宅の場合は、家賃や光熱費を「家事按分」という決まりにより、すべてを経費にすることはできません。これは、店舗兼住宅の場合、プライベートで使う光熱費や家賃、通信費なども入っているという考えで、費用の一部を経費として計上できます。どのくらいの割合かは明確な決まりはありません。経営時間やコンセントの数などを目安に自分で決められます。また、6割サロン、4割住宅などサロンと住宅の割合を明確にしていれば、総費用の6割を経費にできるなど計算が簡単になります。
美容師の制服も経費に入るが例外あり
美容サロンの中には「高級感」を売りにしており、働く美容師に服装の指定をしているところもあります。また、制服があるところもあります。このような場合は服代や制服代も経費として計上できます。ただし、アクセサリーやコスメ類を経費に含めることはできません。美容サロンの経営に、アクセサリー類やコスメ類は必ずしも必要でないためです。
また、インテリアにも注意が必要です。時計や観葉植物などは消耗品費として経費に含められます。しかし、美容サロンを華やかに見せたいからと高価な絵画やインテリアを購入した場合、経費として認められないこともあります。
不明点がある場合は税理士に相談するのがおすすめ
美容サロンを経営しはじめたばかりのころは、どこまでを経費に含めていいかわからず悩むこともあります。特に、自分でサロンの入る建物から作った場合や、大規模リフォームをしてサロンを作った場合、店舗兼住宅にした場合などは、経費の計上方法に悩むこともあるでしょう。
そのような場合は、前述したように税理士に相談してください。税理士は税の専門家です。美容サロンの帳簿付けの経験がある税理士に依頼すれば、経費のことも詳しく教えてもらえます。1人ではサロンの経営に手一杯という場合は、帳簿付けを税理士に依頼してもいいでしょう。そうすれば、「どこまでが経費か」と悩まずにすみます。
美容サロンの経営は経費でどこまで計上できるかを把握しておくことが大切
今回は美容サロンの経営に関する経費について解説しました。基本的にサロンの経営に必要な費用はほぼ経費として計上できます。しかし、中には例外もあるので、美容サロンを開く前に一度経費について調べておくことがおすすめです。「自分で調べてもわからない」という場合は、税理士に相談しましょう。経理処理が1人で無理な場合は、税理士にまるごと依頼する方法もあります。
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