美容サロンにとって来店サイクル計算が重要な理由
美容サロンが売上を伸ばすには、小売店と同じくさまざまな戦略を立てる必要があります。たとえ高い技術力の施術と丁寧な接客を行っても、宣伝や顧客情報の分析を怠れば、スムーズな客数の増加は見込めません。
どの美容サロンでも簡単に始められる戦略は、お客様の来店サイクルを計算して経営に活用することです。来店サイクルという言葉には馴染みがないかもしれませんが、お客様が美容サロンを訪れる間隔と考えれば理解しやすいでしょう。
簡単に計算できる来店サイクルですが、美容サロンに多くのメリットをもたらしてくれます。具体的に見ていきましょう。
美容サロンの来店サイクルの意味と計算方法
来店サイクルとは一定期間内にお客様が美容サロンを再訪問するまでの日数で、通常は年間を基準に計算します。たとえば、年間4回美容サロンを訪れるお客様の来店サイクルは約90日です。これだけ見れば、計算する必要もないと感じるかもしれません。一方で、一人のお客様ではなく美容サロンの総客数を基準に来店サイクルを計算する場合もあります。来店サイクルの計算に2つの基準がある理由は、個別のお客様に働きかけるか、美容サロン全体の売上を増やそうとするかというアプローチの違いです。
リクルートの「美容センサス データブック」によれば、2021年は美容サロンの年間平均利用回数が4.12回でした。2020年の4.48回より0.36回減少しています。365日÷4.12回で計算すると、年間の来店サイクルは88.6日です。
立地や顧客の属性を考慮せず計算すると、お客様の平均来店回数が4.12回未満かつ来店サイクルが88.6日より長い美容サロンには、改善の余地があるといえます。当然ですが、お客様が短期間に何度も来店するほうが、美容サロンの利益になりやすいからです。
美容サロンの来店サイクルを短縮して売り上げを増やすためには、正しく計算してデータを分析する必要があります。
来店サイクルとはお客様が美容サロンを訪れる頻度
来店サイクルとは、お客様が美容サロンを訪問する頻度を日数で表したものです。ある年にお客様が1月・5月・9月の3回美容サロンを利用した場合、365日÷3回で、来店サイクルは約122日となります。なお、来店サイクルと来店頻度は間違えやすいので注意してください。来店頻度とは、お客様がある期間内に美容サロンを訪れる回数です。つまり、期間の日数を来店頻度で割ると、来店サイクルを計算できます。
たとえば、あるお客様の年間来店頻度が2回ならば、年間来店サイクルは約183日です。
来店サイクルは簡単に計算できる!
では、来店サイクルはどのように計算するのでしょうか。一人のお客様の来店サイクルは365日を年間来店回数で割るだけで簡単に計算できるため、ここでは美容サロンの総客数を基準に平均来店サイクルを計算する方法を考えましょう。ある年に美容サロンを訪れたお客様が4人で、来店回数がそれぞれ2回・4回・6回・8回とします。合計来店回数は20回ですから、4人で割ると平均来店回数は5回です。年間日数365日を5回で割ると、平均来店サイクルが73日だと計算できます。
実際に美容サロンを訪れるお客様ははるかに多いので、手作業ではなくPOSで使って計算する必要性が生じます。
来店サイクルを計算したら何がわかる?
店全体の来店サイクルを計算すれば、お客様がどれくらいの頻度で美容サロンを利用するかがわかります。その上でお客様ごとの来店サイクルも計算することで、美容サロンの全体平均と比較して来店サイクルが長いか短いかを判断可能です。たとえば、店全体の平均来店サイクルが90日の場合、来店サイクルが60日と短いお客様は美容サロンにとって優良顧客となります。反対に、来店サイクルが平均より長い180日のお客様に対しては、頻繁に美容サロンを訪問してもらう対策が必要です。
お客様個々人の来店サイクル計算は難しいため、POSを使って似た傾向のお客様をグループ化するのが一般的です。
来店サイクル計算を美容サロン経営に活用する方法
来店サイクルを計算するために、まずは美容サロンへのPOS導入が必要です。POSとはデータベース機能が内蔵されたレジで、顧客や商品在庫の情報を管理し、計算を行えます。来店サイクルの計算以外にもメリットが多いため、多くの美容サロンがPOSを導入しています。来店サイクルは計算するだけでは役に立ちません。平均よりも来店サイクルが長い(来店回数が少ない)お客様に対しては、電話やDMによる来店の呼びかけが必要です。その際も平均的な来店サイクルのお客様と比較することで、適切な呼びかけのタイミングがわかります。
基本的に、美容サロンへの来店サイクルが短くなると客単価も上がります。ただ、お客様に来店を促す際は適切なタイミングが必要なため、来店サイクルの短縮自体を目的化するのは本末転倒です。美容サロンでの施術が必要ないのに来店を呼びかけると逆効果になる可能性があります。
また、お客様のニーズを把握し満足度を向上させれば、自然に来店サイクルは短くなります。お客様が予約を望む時期に満席になっていないか、どの美容師も同等のサービスをご提供できるかといった点を再確認しましょう。
来店サイクル短縮で客単価アップ!
来店サイクルが短いお客様は美容サロンのリピーターとなり、客単価が比較的高くなる傾向があります。リクルートライフスタイルの調査によると、来店サイクル約60日の人が一回の来店で美容サロンに支払うのは、180日の人よりも1,000円ほど多い金額です。来店サイクルはただ計算するだけでは不十分で、短縮を目指して施策を行わなければなりません。たとえば、お客様が美容サロンを利用した際に次回の予約を行ったり、平均的な来店サイクルを迎えたお客様に電話やDMで利用を呼びかけたりするなどの工夫が必要です。
来店サイクルの計算でお客様への対応がわかる
来店サイクルを適切に計算してお客様にアプローチすれば、リピーター獲得につながります。美容サロンを開店したら、早い段階でPOSを導入して来店サイクルの計算を行わなければなりません。POSで計算した美容サロン全体とお客様ごとの来店サイクルを比較し、来店サイクルが長いお客様にアプローチを行いましょう。たとえば、美容サロン全体の来店サイクルが90日なら、100日以上経っても来店しないお客様です。
アプローチは画一的に行わず、お客様の属性ごとに変化させましょう。同じ来店サイクルの長期化でも、高単価だったお客様と来店回数が多かったお客様では事情が異なるためです。
来店サイクルが短ければよいとは限らない場合も
もっとも、毎月美容サロンを利用するお客様は多くないため、来店サイクルの短縮には限界があります。また、確実に来店サイクルを短縮するためにメニューを安くすれば、避けられないのは薄利多売を行う大手チェーン店と競合する危険性です。お客様一人ひとりに対して適切にアプローチすれば、来店サイクルは自然に短くなります。そして、丁寧で高品質なサービスを提供すれば、安売りしなくてもリピーターが増えます。計算や戦略にこだわりすぎず、美容サロンとして当然の接客を第一に心がけましょう。
来店サイクルを計算して美容サロン経営に活かそう!
簡単に計算できる来店サイクルは、美容サロンの経営戦略に役立ちます。店の平均より来店サイクルが長いお客様に対しては、事情を考慮した上で働きかけが必要です。店全体の来店サイクルが長ければ、立地やサービスの質に改善点があると考えられます。
美容サロンにPOSを導入すれば、来店サイクル計算を含む顧客情報の管理を簡略化できます。来店サイクル短縮には薄利多売ではなく、高品質のサービス提供が不可欠です。計算されたデータを分析し、美容サロンがより魅力的になるように努力しましょう。
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