美容サロンはなぜ法人化する必要があるのか?
美容サロンを経営するには個人事業主と法人の2つの方法があります。「従業員も少ないし、個人事業主でいいか」と考える人も多いことでしょう。 法人化するにはいろいろな手続きも必要です。
しかし、ケースによっては法人化したほうが税金面などでお得なこともあります。個人事業主と法人では税金の形態や信用度が違うのです。
この記事では、美容サロンを法人化するメリットやタイミングなどを紹介します。美容サロンを個人事業主と法人、どちらで経営しようか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
美容サロンが法人化するタイミングとは?
美容サロンは最初から法人化しなくても大丈夫です。最初は個人事業主として美容サロンの経営を行い、途中から法人化することもできます。しかし、その一方で「どのタイミングで法人化すればいいかわからない」「いつ法人化すれば最も得なのか」と疑問に思う人もいるでしょう。個人事業主から法人サロンに移行する時期の決まりはありません。好きな時期に法人化できます。しかし、少しでも法人化のメリットを受け取るためには、タイミングを図る必要があります。
ここでは、個人事業主から法人化に移行するタイミングの一例を紹介します。紹介するタイミングで法人化すれば、メリットが大きいでしょう。ただし、これはあくまでも「目安」です。法人化する場合はタイミングを図ると同時に、税理士などにも相談してください。
手続きにも時間がかかるので、美容サロンの経営に余裕があるときに行いましょう。なお、法人化する場合は法人化を代行してくれる会社を利用するのもおすすめです。司法書士や税理士も法人化の手助けをしてくれます。
売り上げが伸びてきたとき
美容サロンの売り上げがアップすると、所得税も上がります。所得税の割合は5%~45%と所得に応じて変わっていくので、純利益が増えるほど所得税は上がっていく仕組みです。最も高額な所得税と住民税をあわせると55%にもなり、利益の半分を税金として納めることになります。一方法人化すると最高税率は23.2%となり、所得税をかなり節税することが可能です。法人化することで節税できる純利益の目安は約600万円です。経費を含めた金額ではないので注意しましょう。純利益が600万円に近づいたら一度顧問税理士に相談するのがおすすめです。
銀行から新たに融資を受けたいとき
法人と個人事業主を比べた場合、より信用度が上なのは法人です。美容サロンを開くには費用がかかります。すべて自費で賄えればいいのですが、なかなか難しいでしょう。そんなときに利用したいのが銀行の融資です。個人事業主でも融資を受けられますが、法人のほうがより融資を受けやすく、融資の額も上がります。ですから、サロンを繁華街へ移転するなど、美容サロンを発展させたいときなど銀行からより融資を受けたい場合は、法人化してみましょう。法人化するということがそれだけ利益があるという証明にもなります。さらに、求人においても法人化したほうが人が集まりやすくなります。
美容サロンをもっと大きくしたいとき
売り上げが順調に上がり、もっと美容サロンを大きくしたい場合というときも、法人化するのによいタイミングです。美容サロンを大きくしたい場合は設備投資が必要です。より大きな建物を借りたり椅子やシャンプー台などの設備を増やしたりします。また、お客様がたくさん来店するようになればシャンプーなどの消耗品の量も増えるでしょう。このほか、美容師や事務員などのスタッフも増やす必要があります。美容サロンを大きくすると、最初は赤字になることもあるでしょう。そのとき、法人ならば欠損金の繰越控除可能期間が10年に延びるので、思い切った投資が可能です。
なぜ美容サロンの法人化が必要?メリットと注意点を解説
美容サロンを法人化する最大のメリットは節税と信用度です。美容サロン以外でも、個人事業主と法人では、法人のほうが信用度が高くなります。株式会社と合同会社、どちらでもかまいません。小さい美容サロンならば合同会社の方が作りやすいでしょう。また、法人の方が税制上優遇されることが多いので、もし売り上げが順調にアップしていたら法人化した方がお得です。人を雇う場合も、社会保険や雇用保険など福利厚生の面で法人のほうが有利です。雇われる方も法人の方が信用できるとして、人気が高くなります。前述したように、銀行から融資を受ける際も法人の方が有利で、不動産を購入したり借りたりする場合も、法人の方が審査がとおりやすくなるでしょう。住宅ローンも法人のほうがより多く組みやすくなります。さらに、もし法人化した後に美容サロンをたたまなければならなくなったとき、負債を追う責任は決められた範囲のみです。ですから、個人の財産を守ることが可能です。
ただし、闇雲に法人化するとデメリットも多くなるので、気をつけましょう。以下に、より詳しく解説していきます。
信用度が高くなり節税になる
法人になると個人事業主とまったく税制が異なります。たとえば、前述したように所得税が安くなります。また、消費税も法人化してから最初の2年は免除されるので、節税になります。このほか、経費の範囲が広くなるので、個人事業主では認められなかったものも経費として計上できます。保険料も個人事業主が最大12万なのに対し、法人ならば2分の1~3分の1まで控除されます。役員が退職した場合に払う退職金も損金計上が認められているので、これも節税になります。
従業員を雇った場合なども雇用保険などが計上できるので節税になるでしょう。つまり、美容サロンの規模を大きくする場合は、法人化したほうがお得です。
知名度が上がる
法人化すると、知名度があがります。知名度が上がれば、求人や顧客獲得に有利になるでしょう。また、知名度が上がれば一等地に美容サロンを構えることも可能になります。より美容サロンを大きくしたい場合は法人化はメリットが大きいといえます。もちろん、宣伝費をかければ知名度を上げることは可能ですが、宣伝費がかかります。宣伝をすればするほど費用がかかるので、やはり法人化した方がお得でしょう。
また、同業者への知名度が上がるため、別の店から腕の良い美容師をヘッドハンティングする際にも役立ちます。そうすることで、さらに知名度を上げられるはずです。
新たに負担しなければならない税金が増える
法人化する場合は、法人税という新しい税金がかかります、この法人税は赤字でも関係なく払わなければならないので、赤字続きの場合はデメリットの方が大きくなります。また、法人化する場合には25万円の費用がかかります。司法書士や税理士などにも依頼しなければならないので、その費用もかかります。たとえば、たまたまある年の売り上げがよくても、それが毎年続くと限らない場合は法人化するのを少し待ってみましょう。2~3年黒字経営が続き、さらに売上増加が見込まれれば安心です。心配な場合は税理士などに相談してみると適格なアドバイスをもらえます。
美容サロンをなぜ法人化するのか理由を明確にしてタイミングを図ろう
美容サロンを法人化すればメリットもあります。しかし、デメリットも同じくらいあります。メリットだけに目を向けず、デメリットもよく確認して法人化するかどうか決めましょう。法人化はいつでもできますが、法人を解散させるのは大変です。法人化すれば法人税など新しい税金もかかるので、赤字続きだと経営が苦しくなります。
経営が順調でこれからさらに発展が見込める場合は、税理士などに相談して法人化するのがおすすめです。なお、そのときになぜ、法人化したいのか目的を明確にしましょう。たとえば、自分一人で店を切り盛りして家族が食べていけるだけの稼ぎがあったら十分な場合は、個人事業主でも問題ないケースも多くあります。
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