
開業後すぐに提出する届出書と確定申告時に提出する書類がある

各種届出書の必要性とメリット
法人として会社を設立したら開業届けを出すのは当然ですが、個人経営だとどうでもいいような気がしませんか?国民の1人として納税義務を果たすべく、事業の所得を確定申告時に届ければ当然罰則はありません。しかし普通に申告すれば、売上から経費を引いて、基礎控除や保険料控除などを引いた額が課税所得額になってしまいます。もっと控除を受けようとするとやはり手続きが必要になります。2つ目は信用ができるということです!開業届の「控」を使っていろいろなことができます。
銀行や、ゆうちょ銀行にお店の名前(屋号)入りの口座を開き、個人の支出とは別に管理できるので決算の時に集計の手間が省けます。もちろんキャッシュコーナーで引き出した場合は通帳に記しておきます。また残高をみるだけで経営状態が確認できるので経営に熱が入ります。また、お店の近くの金融機関や地域の商工会議所などから、融資や親身なアドバイスを受けることが可能となったり、お店として保険や共済制度に加入できたりするので経営の強い味方になってくれます。
個人事業の開業・廃業等届出書及び法人設立届出書
手続き名「個人事業の開廃業等届出書」は開業後1か月以内に提出します。この開業届を提出しなくても、確定申告時にきちんと申告すれば特に罰則はありませんが、次の項目で説明する所得税の「青色申告承認申請書」は開業届けを出さない限り提出できません。この届を出しておくことで申告時に税務署からお知らせが来るので、サロンの営業が忙しくてうっかり申告時期を過ぎてしまったということもありません。事業収入の申告漏れは正規の税金に加えて追徴金が発生します。様式、記入方法などは国税庁のホームページにありますので記入例に沿って作成すると良いでしょう。
「法人設立届出書」は必須で定款など多くの添付書類が必要となります。
所得税の青色申告承認申請書と青色事業専従者給与に関する届出書
「所得税の青色申告承認申請書」を提出することにより青色申告ができます。青色申告は年末に貸借対照表と損益計算書を作成した場合は65万の青色申告控除が受けられ、現金出納帳、売掛帳、買掛帳などの簡易な記帳の場合は10万の控除が受けられるので、白色申告よりは納税額が少なくなります。もちろん帳簿や書類は保存期間が定められているので、確実に保管しましょう。(2020年度分から制度が変わります。詳しくは国税庁を参考にしてください。)
「青色事業専従者給与に関する届出書」にあらかじめ支払い給料を記載しておくことで、記載した範囲内で生計を一にしている配偶者やその他の親族で15歳以上のサロンの従事者に支払った給料は、経費として算入することができます。
所得税の棚卸資産の評価方法の届出書と所得税の減価償却資産の償却方法の届出書
「所得税の棚卸資産の評価方法」棚卸資産も申告時に算入するため、個人でサロンを営業していても、材料や商品の「棚卸し」を行う必要がありますが、原価法や価法などの評価方法を選択します。提出しなければ、一般的には最終仕入原価法が適用されます。
「減価償却資産の償却方法の届出書」
経過年数とともに価値の下がる建物・設備・器具・備品・機械などの償却方法を選択します。(10万円未満のものはその年の経費に算入します)選択した方法で算出した金額が、その年の経費になるというわけです。償却方法は「定額法」や「定率法」があり、相続・遺贈又は贈与によるものも含まれます。
従業員を雇う場合や売上が1000万を超える時に必要な届出書
1人でサロンを営業するのは大変なことであり回転率も悪いので、スタッフを雇い接客業務をこなす店舗は少なくありません。またそうなると売り上げも大きくなり、消費税の納税対象になる可能性もありますがそれは嬉しい悲鳴にほかなりません。消費税は開業当初は免除されますが、基準期間の課税売上が1000万を超えることとなった場合は「消費税課税事業者届出書(基準期間用)」を、特定期間の課税売上高が1000万を超えることとなった場合は「消費税課税事業者届出書(特定期間用)」を速やかに提出する必要があり、反対に課税売上高が1000万に満たなくなった場合は「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」の届出書を提出することとなります。スタッフを雇うと当然給料や賞与(可能なら)など支払いますが、ただ払えばいいというものではなく届け出や処理が必要となります。しかし開業時からスタッフとともにお店の運営をしているなら、開業届書に記入することで省略できるものもあります。
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
手続き名「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」は上記で述べたように、開業届けに記載することで省略できますが、途中から雇用した場合には雇用から1か月以内に届ける必要があります。また必ず個人番号欄にマイナンバーを記入する必要があり、控えを持ち帰る場合は必ずマイナンバーが判読不能な状態にしなければなりません。これは事業主が従業員から源泉徴収した所得税を税務署に納めるために必要な手続きで、税務署から納付書が送られてきます。届出を怠るとペナルティーがあるので注意しましょう。源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
手続き名「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」は従業員の毎月の給与から預かった源泉所得税を、年2回に分けて納付したい場合に申請します。サロンの営業をしながら毎月10日までに納めるのは大変ですので、届けておいた方が良いかも知れません。高額を1度に払うより毎月少しずつ納めた方が良いという人は必要ない手続きです。事業主の所得税は自分で申告して納めなければなりませんが、従業員の所得税は税率表に沿った額か、エクセルや給与計算ソフトで導き出した税額を毎月の給料から預かって事業主が納めます。また年末には預かった税額の過不足を計算して調整しますが、これを年末調整といい、事業主の仕事の1つです。消費税の新設法人に該当する旨の届出書
届出名「消費税の新設法人に該当する旨の届出手続き」は、新設法人(基準期間がない事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人)が速やかに届け出る必要のある手続きですが、これも法人設立届出書に記載した場合には不要です。ただし、資本金等の額が1000万以上の法人は免除されません。個人で開業した場合や資本金等が1000万未満で設立した法人の場合は、基準期間がないので例外を除き消費税の納税を免除されます。また個人事業主が法人設立した場合は個人当時の課税売上は基準期間に含まれません。ただし高額の設備投資等があり、消費税の還付を受けたい時には課税業者を選択することもできますが、2年間は免税業者に戻る手続きができないので、注意しましょう。
届けは怠らずメリットを存分に受けよう

さらに売り上げが増えてくると、消費税の「簡易課税制度」の選択が妥当かどうかなどいろいろ考慮する点も出てきますが、都度諸手続きを怠らずやっておくことで健全な経営ができるでしょう。自分で処理することに限界を感じたら、迷わず税理士に相談してください。税理士を選ぶ場合も知り合いや、信用できる機関をとおして依頼しましょう。
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