サロン勤務を経て美容師が開業するには何が必要か確認しましょう。
美容師にとって開業はサロン勤務の次のステップ
サロン勤務の美容師にとっては、独立開業して自分のお店を持つのが夢ではないでしょうか。サロン勤務もやりがいがある仕事ですが、アシスタントとしてサロン勤務する美容師は自分自身のスタイルを表現することができません。そこで次のステップとして開業が視野に入ります。
サロン勤務を始めた頃は上司の指示に疑問なく従っていても、美容師のスキルが身に付くとともに自分のやり方を試したくなるものです。だからこそ開業は美容師にとってのゴールとなりますが、サロン勤務中には見えない苦労もあります。自由になるための開業には経営者としての責任も伴うという自覚が必要です。
美容師がサロン勤務を終えて開業するのはいつ?
現在サロン勤務している美容師として気になるのは、開業する時期はいつにすれば良いかということですね。開業時期を決める要因として挙げられるのは、年齢、そしてサロン勤務という経験の長さです。20歳前後で美容師になれば、年齢とサロン勤務歴はほぼ比例します。 通常は美容師になってから10年経った30歳前後が開業のタイミングです。約10年のサロン勤務の間に店長を経験していれば、開業するにあたって有利になると言えます。スタイリストやアシスタントが指示を受ける立場であるのに対し、店長である美容師は店舗経営の裁量を任されているからです。もちろん、店長を経ずにサロン勤務を終えて開業することも不可能ではありませんが、開業資金の問題を考慮すると年齢は重要です。美容師になりサロン勤務を始めたばかりの20代前半の頃は、経験のみならず開業資金も足りません。ある程度の自己資金に加えて銀行からの融資も開業資金に充てる必要があります。 若すぎると銀行に融資を断られてしまうため、約10年のサロン勤務を経た30歳前後の時期が、お金の面から見ても開業に適しています。また、サロン勤務で他の美容師との人間関係の苦労を経験したという意味でも、30歳前後が開業にベストです。
ほとんどの美容師は30代で開業している
美容師を支援するサイトのデータを見ても、30代を開業時期に選ぶ人が約70%に達しています。前述のようにサロン勤務で経験を積み、お金にも余裕が出てきたことがその理由です。ただ詳細なデータを見ると、美容師が30代前半か後半かで開業理由は多少異なります。20代を終えたばかりの30代前半の美容師の場合は、サロン勤務で金銭的信用も美容師としてのレベルも高めたものの、夢を叶える手段として開業する傾向があります。それに対し30代後半の美容師は、長いサロン勤務によって店舗の経営も経験しており、その発展形としての開業が多く見られるケースです。
サロン勤務中の店長経験は開業に有利
10年ほどサロン勤務した美容師は店長を経験することが多く、開業にも有利になると説明しました。店長になること自体が重要ではなく、他の美容師と円滑にコミュニケーションを図ったり、店のお金や在庫の管理を自分で行ったりする経験が開業に役立つということです。開業後の美容師の役割は、サロン勤務時とは一変します。雇った美容師の給料や勤務時間を決めたり、在庫を把握して発注したりしなければいけません。お金の管理は重要ですし、収入と支出を考慮してサービスの料金を決める権限もあります。サロン勤務時に店長になれば、開業の予行練習ができるのです。
サロン勤務ではわからない開業後の事情とは?
開業がサロン勤務の延長線上にあると考える美容師にとって、開業は自分の理想の店を作るステップです。サロン勤務中から開業後の店のインテリアやお客様に提供するサービスについて考えているでしょう。ただ、理想を掲げるだけでは開業してもうまくいきません。 開業後に美容師が直面する現実は、お金の問題です。開業資金を用意できても、毎月の経費を正確に把握するのは難しいですし、予想よりお客様が少ないこともあります。サロン勤務の経験を活かして利益と支出を考える際は、可能な限り厳しい数字を出しましょう。開業後は柔軟に計画を修正する必要があります。サロン勤務を経て開業する美容師の心構え
素晴らしい理想は、厳しい現実を直視してこそ叶えることができます。サロン勤務の際に「こうすればもっと良い美容室にできるのに」と思ったなら、そのアイディアを開業に活かしてください。ですが、開業した美容師が経営者を兼務する以上は、理想を実現するためにコストをかける価値があるか考慮が必要です。 サロン勤務から独立したら、役所に開業届を出し、保健所の検査も受けなければなりません。別の美容師を雇ったら、毎月お給料を払う必要があります。一部の責任だけ負えばよかったサロン勤務時代と違い、全てを引き受ける覚悟はあるでしょうか。サロン勤務のほうが楽そうだと感じたら、残念ながら開業には向きません。厳しい言い方になりましたが、開業したら毎日厳しい現実を直視しなければいけません。サロン勤務を卒業して開業した直後のお店は小さく、価格で大手チェーンに対抗することは不可能です。お客様が来ない日もあるかもしれません。それでも諦めず美容師として最善を尽くすことが、開業を成功へ導く心構えです。 安い美容室はいくらでもありますが、あなたという美容師は一人しかいません。サロン勤務で培ったあなたの技術と個性を活かして、世の中に一つしかない美容室を開業してください。
開業届などの書類提出が必要
美容室を開業する時は役所への書類提出も求められます。開業に必須の書類は、都道府県税事務所に提出する事業開始等申告書と、税務署に提出する個人事業の開廃業届出書です。税金が安くなる青色申告の適用を受けたり、美容師を雇ったりする場合は、別の書類も必要になります。サロン勤務中に、保健所の検査を受けた経験はないでしょうか。開業の際も内装の施工業者から図面を受け取った上で、開業の10日前までに開設届や施設の位置図などを保健所に提出し、検査を受ける義務があります。正確な手続きは地域により異なるため、開業前に保健所に相談してください。
一人で経営するか美容師を雇うか
サロン勤務から独立開業に勤務形態が変わった直後は、一日の客数が5人前後の小さな美容室を営むことが現実的です。お客様が少ないうちは美容師は自分だけで済みますが、開業から時間が経ち客数が増えてきたら、ほかの美容師にサロン勤務してもらう必要が出てきます。美容師を雇用するタイミングに明確な基準はありません。お客様が増えて、一人きりのサロン勤務が大変になった時に美容師を雇うのが無難です。ほかの美容師にサロン勤務してもらう場合は税務署、保健所、労働基準監督署への書類提出が必要ですし、人件費も考慮しなければなりません。
サロン勤務とは異なる経営者の業務
ここまで、独立開業する美容師の業務として資金集めや書類提出、お金と在庫の管理などを取り上げました。付け加えると、サロン勤務時は見えにくい経営者の業務が、毎日の事務作業です。基本的にはパソコンの表計算ソフトを使って在庫管理や出納帳などのデータ入力を行います。開業後は毎年1月から12月までの収支を集計し、翌年2月中旬に税務署に確定申告する義務があります。現在は無料または格安のクラウド会計ソフトもありますが、開業後も美容師としてサロン勤務に専念するなら会計士や税理士に依頼することも選択肢です。報酬相場は年間10万円前後となります。
開業するとサロン勤務より責任も満足度も増える!
サロン勤務する美容師は店が毎月給料を支払ってくれますが、上司の指示に従わなければいけません。開業すれば自由自在に美容師としての個性を発揮できる一方で、負う責任はサロン勤務では考えられない大きさです。美容師を雇えば生活を支える義務も生じます。
ですが、準備や毎日の業務が大変である以上に、開業は大きな満足を伴うものです。自分の店でお客様に理想のヘアスタイルを提供することは、美容師にとっての喜びとなります。失敗を恐れていては成功もありません。サロン勤務で経験を積み、現実的な計画を立てて、美容師の夢である開業を実現させましょう。
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