美容サロン開業を思い立ったらまず立地をチェックしよう
美容サロンを開業したいと思ったら、まず何が必要でしょうか。美容師としての経験や接客スキルを高め、資金計画を立てることは欠かせません。それ以上に重要で見落としがちなのは、美容サロンを開業する立地です。
現在はさまざまな広告手段が存在し、SNSも活用できます。そのため立地はあまり関係ないと思われがちですが、人気の美容師が所属するなど話題性が高い美容サロンでない限りは、開業時の立地が売り上げに大きく影響します。
今回は美容サロン開業になぜ立地が重要かを解説し、正しい立地の選び方を紹介します。
開業前の立地選びが美容サロンの売り上げを左右する
立地とは文字通り、美容サロンなどの店が立つ土地を意味します。たとえば、都会の駅前であれば毎日何万人もの人が行き来するため、立地する店は多くの集客を見込めますが、賃料などのコストが高くなります。一方で地方の郊外は集客が難しいものの、コストは低額です。SNSの普及で口コミが重要になり、立地は以前ほど売り上げに影響しないという意見もあります。有名な店舗やチェーン店であれば、確かに不利な立地でも多くの集客を見込めます。ただ、お客様が少ない開業直後の美容サロンが口コミによる集客に頼りすぎるのは禁物です。
美容サロンは人通りが多い駅前一等地に開業するのが理想ですが、賃料が高いため、独立を目指す段階で借りるのは簡単ではありません。また、条件が良い立地は他の店舗が開業済みであることが多く、必然的に他の立地を探さざるを得ません。
そこで、美容サロンは住宅街などの「二等地」に開業するのが現実的です。駅前でなくても人通りが多い場所はありますし、地域密着型の美容サロンとして口コミで広まれば高い売り上げが見込めます。もちろん住宅街ならどこでもよいわけではなく、事前の調査が重要です。
人通りが多い立地は開業資金が高くなるジレンマ
人通りが多く集客を見込める立地は、賃料に加えて家賃10か月分程度の保証金も必要です。資金力がある大企業やそのチェーン店が先に開業することが多く、個人経営の美容サロンは多いといえません。開業資金を融資で集められても、毎月のランニングコストが重荷となります。ただ、美容サロンは何気なく立ち寄る飲食店と違い、予約して訪れる店舗であるため、相当不便な立地に開業しなければ客入りを望めます。駅前ではなく徒歩数分程度の場所や、ショッピングモールの2階に開業するなどの手段で、人通りの多さと賃料の安さを両立可能です。
立地によっては郊外に開業しても集客を見込める!
たとえ賃料が安くても、郊外や建物の2階以上に美容サロンを開業するのは不安かもしれませんが、立地だけにこだわる必要はありません。立地と同様に重要なのは、競合する店舗が少ないことです。郊外での開業を目指す場合は、最寄り駅の半径500m以内に美容サロンが何店舗存在するか確認してください。開業から長期間経つ美容サロンが多い場合は、常連客が多いそれらの店舗と競合するため経営は厳しくなります。
それに対し、ニーズはあるのに駅近くに美容サロンが少ない住宅街なら、地域密着型の店づくりを目指すことで常連客獲得につながり、立地のマイナス面を補うことが可能です。
美容サロンのターゲットに合った立地選びが最重要
立地選びで重要なのは、開業する美容サロンの商圏・客層がビジネス型か、それとも住宅街型かということです。美容サロンのターゲットがビジネス客なら、昼間人口が多い駅近くのオフィス街への開業を目指すことになり、競合店の多さと資金面でハードルが上がります。一方で若者や主婦をターゲットとする美容サロンは、住宅地への開業がベストです。平日の昼間は人口が少なく、夜間や休日に人口が多い立地を探してください。昼夜間人口比率が低く夜の人口が多いほど、主婦をターゲットにしやすい住宅街型の立地であるといえます。
美容サロン開業にベストな立地の探し方とは?
美容サロンのターゲットを主婦層に絞り、住宅街への開業を決めたとします。ベッドタウンとして有名なエリアをネットで調べ、美容サロンの開業に適した物件があったと考えてください。美容サロンのターゲットに合った立地を見つけても、すぐに開業を決断することはできません。同じ住宅街でも、ネットで見るデータと実態は異なります。夜間・休日の人口が多くても、高齢者の比率が高い立地では美容サロンのニーズがさほど高くないでしょう。同様に、高級感がある立地に庶民的な美容サロンを開業しても、需要との間にミスマッチが生じます。
ミスマッチを防ぐには、美容サロンの客層が立地に合っているかどうか調べることが大切です。そのためには、必ず現地に行って調査してください。現地にどのような人々が住んでいるか調査を行えば、美容サロンがターゲットとする属性に合致するかどうか判断できます。
個人経営の美容サロンを開業するために立地の調査を行うのは大変ですが、リスク軽減には欠かせません。どれほど腕とサービスが良い美容師でも、立地の選定を怠れば事業が行きづまります。融資を受けて開業する場合は、金融機関に説明するため稼げる立地である証明が必要です。
開業予定エリアで立地調査を行おう
美容サロンは徒歩のお客様が多いため、半径500mの商圏を目安に立地調査する必要があります。道が曲がっていたり、駅との間に大きな建物や川があったりする場合は、必要に応じて範囲を調整してください。現地で調べるのは、通行者の数と属性です。交通量が多い交差点や開業予定地の前に一日中立ち、毎時15分間は通る人の年齢や性別をノートに書き留めてください。可能なら、季節や天候による人通りの変化も調べましょう。
立地調査をすれば、「人通りは多いけれど、美容サロンのターゲットとなる人は少なそうだ」など、開業に適すか否か判断しやすくなります。
立地に加えて美容サロンを開業する物件の調査も必要
立地調査を終えて美容サロンのターゲットに合うことがわかったら、次は物件選びに進みましょう。現地の情報に詳しい不動産業者を直接訪れ、美容サロンの開業に適した物件があるか尋ねます。良い物件がなければ、空き物件ができ次第連絡してくれるように頼んでください。物件が見つかったら、美容サロンで使う電気・ガス・水道の容量を満たしているか、配管できるかを確認する必要があります。レイアウトの自由度は減りますが、美容サロン用の設備が残された「居抜き物件」も良い選択肢です。
また、その物件や立地にトラブルはないか、聞きにくくても業者にしっかり質問しましょう。
立地選びで見落としがちなポイントとは?
ネットの情報やイメージに頼らず、現場に出向いて立地調査と不動産業者から聞き取りを行うことは重要です。美容サロン開業時に気を付けるべきポイントをほかにもいくつか紹介しましょう。まず、立地がわかりやすい場所か確認してください。地図上では駅のすぐ近くに見えても、道が細く入り組みわかりにくいこともあります。美容サロンのお客さんになったと想像し、駅から立地まで自分で歩くことが大切です。
立地が良く美容サロンに適していても、店の前に看板を設置できず宣伝活用に制約がある、エクステリアを変更できないなどの条件がある物件もあります。開業前に不動産業者に問い合わせてください。
立地を選べば美容サロン開業が近づく!
長年美容師としての経験を積み、資金計画を立てたら、美容サロンの開業まであと一歩です。思い描いた美容サロンの開業を実現できるように、立地選びは慎重に行ってください。どれほど腕が良い美容師でも、集客に失敗すれば美容サロンの良さを活かせません。
ネットでデータを調べるだけでは不十分です。立地選びはそこに暮らす人々を知ることであると考え、必ず現地に赴き、不動産業者からも話を聞いてください。調査を通じて美容サロンのターゲットに合う立地を見つけたら、念願の開業がさらに近づきます。
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